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抵当権の被担保債権の範囲(民法375条)

1 抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の二年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。ただし、それ以前の定期金についても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からその抵当権を行使することを妨げない。

2 前項の規定は、抵当権者が債務の不履行によって生じた損害の賠償を請求する権利を有する場合におけるその最後の二年分についても適用する。ただし、利息その他の定期金と通算して二年分を超えることができない。


【司法書士試験対策条文解説】
抵当権によって担保される債権(被担保債権)の範囲について定めた規定です。

◇元本
元本は全額が抵当権で担保されます。

◇利息
抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の2年分についてのみ、その抵当権を実行することができます(民375‐Ⅰ)。

抵当権は質権と異なり、後順位抵当権者や一般差押債権者が現われることが多いので、これらの者の保護のために利息を2年分に限定しています。予想を超える利息額により、後順位抵当権者などが配当を受けることができないなどの損額を防いでいるわけです。

「満期となった最後の2年分」とは、担保権の実行としての競売又は強制競売の配当実施日から逆算して2年分とするのが実務です(名古屋高S33.4.1)。

従って、そのような第三者が居ない場合には2年分に限定されません(大T4.9.15)。すなわち債務者、設定者、第三取得者との関係では利息全額につき弁済(配当)を受けることができます。

なお、この2年分は優先弁済を受けるについての制限なので、後順位抵当権者などの第三者が任意弁済によって先順位抵当権を消滅させようとするときは利息全額を弁済しなければなりません。

2年分を超える部分の利息は、後順位担保権者との関係では劣後し、一般差押債権者との関係では平等となります。

*定期金
定期金とは、地代、賃料、終身年金などを指します。通常、全く問題になりません。

◇遅延損害金
「抵当権者が債務の不履行によって生じた損害の賠償を請求する権利(民375‐Ⅱ)」が遅延損害金(遅延利息)です。

この遅延損害金についても最後の2年分に限定され、しかも「利息……と通算して2年分を超えることができません(同項‐ただし書)。

◇利息の特別の登記
最後の2年分以前の利息・損害金についても、「満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からその分の抵当権を行使することを妨げないと規定しています(民375‐Ⅰ、Ⅱ)。

延滞分を登記して公示すれば、第三者に不測の損害を与えるおそれがないからです。

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